「ええ加減にせぇへんか?昭和の会議室で叫んだ話」

和若手社員が叫んだ!

木目の壁に蛍光灯の白い光。 どこか埃っぽい空気が、朝からずっと漂うてる。アナログ時計は11時57分。針は動いてるようで、動いてへん。

壁には赤文字の貼り紙──「戻れません」。 誰が貼ったんかは知らんけど、妙に説得力がある。

議題は「業務改善」。 けど、改善する気なんて誰も持ってへん。部長が口を開く。「まずは前回の議事録の確認からやな」 その声で、会議地獄の幕が上がる。

A4で27ページ。誰も読んでへん。 それでも確認に30分。 そこから“ついでに”が始まる。「来月のイベントの件も話しとこか」 「社内報の内容も決めとかなあかんし」 「来年度の予算も…」

議題は増える。ホワイトボードは文字で埋まり、マーカーが乾いていく。 誰かが「トイレ行ってきます」と言うたけど、戻ってこんかった。

沈黙の霊がぽつりと「それでええと思います」と言う。 部長はまた「整理しよか」と言う。 整理ちゃう。再放送や。

そのときや。若手社員が立ち上がった。 机をバンと叩いて、叫んだ。

「ええ加減にせぇへんか?!」

その一言が、止まった時計を動かし、会議室の呪いを解いたんや。

情景は懐かしく、会話は皮肉たっぷり、でもどこか笑える。

 

「議題ちゃうねん、呪いやねん」

議題は増える。けど、誰も減らそうとはせぇへん。 「ついでに」って言葉が飛び交うたびに、空気が重たなる。

ホワイトボードはもう真っ黒。マーカーはカスカス。 誰かが「新しいのないんですか?」って言うたけど、部長は「まだ書けるやろ」と返す。 昭和の根性論、ここにも健在や。

部長はまた口を開く。 「それ、前にも言ったけど、もう一回整理しよか」 社員たちはうなずくだけ。 誰も「それ、もう聞いたで」とは言わへん。 言うたら空気が凍る。 言わんでも、時間が凍る。

沈黙の霊が動いた。 「それでええと思います」 その一言で、議題が確定する。 誰も納得してへんのに、決まる。 それがこの会議室のルールや。

議事録係は、ペンを持ったまま遠い目をしてる。 「これ、まとめるん…ぼくですか?」って小声で言うたけど、誰も聞いてへん。 聞こえてても、聞こえへんふり。 それもまた、昭和の空気や。

 

「沈黙は金、でも誰か払えや」

議題が増えるたびに、誰かの心が折れていく。 でも、折れた音は聞こえへん。

聞こえるのは、部長の「うん、それも入れとこか」だけ。 その「うん」が、地味に重い。 まるで水滴が天井からポタポタ落ちるように、精神を削ってくる。

「それ、前にも言いましたよね?」 若手が勇気を振り絞って言うた。 部長は一瞬止まる。 空気も止まる。 時計の針だけが、カチカチと命を刻む。

「せやけど、もう一回言うてもええやろ」 その一言で、若手の勇気は蒸発。 会議室の湿度だけが上がる。

誰かが咳払いする。 誰かがペンをカチカチ鳴らす。 誰かが机の下でスマホをチラ見する。 でも、誰も逃げられへん。 この会議室は、昭和の密室や。

議事録係は、もう文字じゃなく絵を描き始めてる。 「この議題、なんか…妖怪みたいやな」ってつぶやきながら、ホワイトボードの隅に目玉の親父みたいなキャラを描いてる。

それを見た隣の社員が「それ、次回の資料に入れといて」と真顔で言う。
もう、何が冗談で何が本気かわからん。

 

「怪議の司会、孤独の水泳」

司会に任命された瞬間、空気が変わる。 誰も目を合わせへん。 「よろしくお願いします」って言うたけど、誰も返事せぇへん。 その沈黙、まるで深海。

議題を読み上げる。 「では、まず一つ目…」 誰も反応せぇへん。 「ご意見ある方…」 誰も手ぇ挙げへん。 「…じゃあ、次に…」 誰も聞いてへん。

まるで一人で水中で叫んでるみたいや。 酸素なし、浮き輪なし、助け舟なし。 あるのは、部長の「進行、遅いな」の一言。 それが、心にズドンと沈む。

誰かが「それ、前回と同じですよね?」って言うた。 「そうですね…」って返したら、部長が「いや、ちょっと違うと思う」と言う。 その“ちょっと”が、地味に重い。 司会のぼくは、もう水底で泡吹いてる。

議事録係がこっそりメモに「司会、かわいそう」と書いてる。 それを見て、ちょっと救われた気がした。 でも、会議は続く。 誰も止めへん。 誰も助けへん。 それが、怪議。

 

「議事録に書かれへん空気」

会議が終わった。 誰も拍手せぇへん。 誰も笑わへん。 でも、誰も文句も言わへん。 それが、昭和の“終わった感”。

部長が最後に言うた。 「じゃあ、次回はもっとスムーズにいこか」 その“もっと”が、誰にも見えへんゴールを指してる。

議事録係が、そっとペンを置いた。 「今日のまとめ、どうしましょう?」って聞いたら、部長が言うた。 「空気でわかるやろ」 その瞬間、全員の心に“議事録に書かれへん空気”が流れた。

ここまで書いてきて爺はふっと思ったんや。この会議に「AI」があったらどうなったやろ。 昭和の会議にAIなんて、まるでちゃぶ台にWi-Fiルーター置くようなもんや!

議事録は手書き、資料はガリ版、進行は根性、沈黙は美徳。AIが入ったら、空気読まんで済むから逆に浮いてまうわな。

でもな、もし昭和の会議にAIがおったら… 「それ、前回と同じです」って即答して、 「議事録はこちらです」って3秒で出して、 「この議題、無駄です」ってズバッと言うて、 部長に「お前、誰に口きいとんねん」って怒られて、 そのままフロッピーディスクに閉じ込められて終わりやろな…。

 

爺の妄想「昭和AI導入記:そして誰も空気を読まなくなった」

昭和58年、某企業にて。 「最新技術や!」と部長が叫び、導入されたのは謎の黒い箱。 名前は「AIくん」。 でも、見た目はファミコンのカセットみたいや。

初仕事は会議の議事録。 AIくんは、部長の発言をそのまま記録した。 「ええっと…まあ…その…」 →「曖昧な発言。意味不明。削除推奨。」 部長、顔が赤くなる。

次は進行役。 「この議題、必要ですか?」とAIくん。 →「不要。過去に3回同様の議論。結果なし。」 部長、顔が青くなる。

さらに、空気を読まないAIくんは、会議中にこう言うた。 「この沈黙、非効率です。発言を促します。」 →全員、顔が真っ白。

そして、ついに部長が言うた。 「こいつ、空気読まへん!」 AIくんは答えた。 「空気はデータではありません。」

その瞬間、会議室が静まり返った。 誰も反論できへん。 でも、誰も納得してへん。 昭和の空気は、データ化できへんのや。

結局、AIくんは倉庫にしまわれた。 その上に「反省箱」と書かれた紙が貼られてた。 そして、会議はまた始まった。 沈黙と根性と、謎の灰皿とともに。

 

爺が「AI]くんにお願い:

爺は「AI」くんに頼んでこの会議いや怪議に「AIくん」いたらという爺の妄想を、セリフ入りのコマ割り風構成の漫画にしてもらったので見てやってくれはりますか:

 


“Knock it Off”
2025/09/03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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